こんにちは。 前作のつづきです。(読まれてない方はこちらから↓) https://matsuda-kotu.hatenablog.com/entry/2024/12/23/083000
36号系統と密接な関わりを持つ近鉄バスのお話を前編にて紹介しましたが、その先の話を紹介していきます。
縮小しはじめた近鉄バス
[36号系統として走る市バス(提供: 市場氏先輩F氏)]
[特36号系統として走る市バス(提供: 市場氏先輩F氏)]
[1974年頃の路線図]
路線図を見る限りかなり賑やかなものになってきました。
1970年1月11日の御堂筋や堺筋などの幹線道路の一方通行化に伴う改正で、36号系統と特36号系統の飛び石急行運転を廃止。臨特36号系統(存在時期不明)の廃止。 臨36号系統(東野田〜安田)の新設がありました。(後に京橋駅前〜安田に短縮) 36号系統もこの時期に鶴見町から安田まで延長します。 近鉄バスに関しても幹線道路の一方通行化を期に内本町バスセンター及び本町バスセンターが廃止となり、以前の天満橋までに短縮することになりました。
1974年9月には近畿日本鉄道自動車局 東野田営業所を廃止し、梅田・天満橋〜住道方面の拠点は鶴見区(1974年7月に城東区から分区)にある茨田営業所のみとなりました。 東野田営業所があった場所はしばらくはバスの待機場として利用されました。
1977年4月10日の再編成で136号系統(大阪駅前〜住道駅前)が廃止となり、結果的には15年ほど前に近鉄側に梅田への乗り入れを許した代償のみが残るだけになってしまいました。
[森之宮営業所の車両も走っていた(提供: 市場氏先輩F氏)]
ゾーンバス制度の開始と浜バスターミナル
[1980年頃の路線図(近鉄バスの天満橋バス停は2ヶ所存在し、市バス天満橋ターミナル付近と市バス京阪東口前に廃止直前まで存在した。設置時期は不明)]
1979年7月22日に大阪市営バスがゾーンバス制度(路線を幹線・支線と分けて車内の混雑を軽減し運行の遅延を無くすため)を実施しました。 またこの頃に南森町~扇町を西天満~太融寺町と現在の経路に変更されました。
特36号系統は支線36号系統と幹線36号系統に分けられることに、また京橋駅から出ていた幹線特36号系統も運行していました。
1987年には浜〜安田間に浜バスターミナルを開設して、今まで中継箇所だった安田から浜バスターミナルへと移動され、
幹線36A号系統(大阪駅前〜浜バスターミナル)
幹線臨36号系統(京橋駅前〜浜バスターミナル)
支線36号系統(浜バスターミナル〜茨田大宮)
を運行していました。
ただ、浜バスターミナルは終日営業しているわけでなく昼間時(9時頃〜17時頃)のみの営業なため、幹線36号系統は安田まで、幹線臨36号系統は特36号系統(京橋駅前〜茨田大宮)までの運行となっていました。
[浜バスターミナルが存在した頃の周辺路線図(1988年5月当時)]
[支線36号系統として茨田大宮付近を運行する市バス(提供:市場氏)]
1990年に近づくにつれて地下鉄鶴見緑地線(後に長堀鶴見緑地線)の建設や花と緑の博覧会を控え、鶴見より西方向の道路の拡幅工事などが行われるようにより、近鉄バス側にとっては近畿日本鉄道自動車局 茨田営業所を廃止、新たに東大阪市に稲田営業所を開設させました。 諸口発着の路線も浜南口に操車場(浜充電所、近鉄モータース工場などを経て)を開設しました。茨田営業所があった場所は後に駐車場と鶴見検車場となっています。
[浜南口行きの近鉄バス(提供:市場氏)]
[便数の多かった産大行き(提供:市場氏)]
[梅田行きの近鉄バス(提供:市場氏)]
[生駒聖天行きの近鉄バスと天保山行きの市バスが梅田新道で別れる(提供:市場氏)]
1980年代の近鉄バスの行き先は主に梅田からは産業大学前(天満橋発もある)、生駒山上、生駒聖天(正月などの臨時運行のみ)、近鉄奈良駅前(便はごくわずか)とあり、天満橋からは住道駅前や朋来(ほうらい)住宅などが出ていて豊富でした。さらに市営バスの路線も走るわけですから当時はものすごい数のバスが走っていたことがうかがえます。
※1980年当時の梅田~産業大学前の便は1日で106回も運行していた。
ゾーンバス末期と近鉄バスの衰退
[1991年頃の路線図]
1990年に鶴見緑地線が出来たことで横堤バスターミナルが開設。それにより市営バスの浜バスターミナルは廃止されました。(廃止後しばらくは安田発着便のバス待機場に転用)
近鉄バスも一時期は横堤バスターミナル発着路線が存在していました。
特36も京橋駅前発でなく大阪駅前発になりました。
[1991年当時の特36と幹36の時刻表、早朝には今福西四丁目~大阪駅前(幹線36A号系統)が存在した。なお、かつては蒲生四丁目行きも存在。]
[蒲生桜小橋付近を駆け抜ける特36(提供:市場氏)]
1994年に幹36は廃止。 1997年には長堀鶴見緑地線の門真南駅が延伸開業した影響で特36と支36は茨田大宮から地下鉄門真南まで延伸します。
[地下鉄門真南延伸後の路線図(1999年10月当時)、延伸当初は既設の茨田大宮〜茨田大宮中間の循環線も存在していた。]
近鉄では、1999年に近畿日本鉄道自動車局の路線を引き継ぎ近鉄バスとして運行を開始します。また、この頃に阪奈生駒線などの縮小で近鉄奈良駅行きなどの路線などが廃止されることとなり、かなり寂しいものとなりました。
[この頃には数本だけ大阪駅北口行きが存在した]
[2006年頃の梅田駅周辺地図。大阪駅北口バス停は梅田貨物駅南口にあったが、停留所どころか貨物駅すらも今は無い]
ゾーンバス終了後と近鉄バス路線の最期
[ゾーンバス終了後の36号系統(提供:市場氏)]
[近鉄バス新塗装で運行する梅田行き(提供:市場氏)]
[2012年頃の路線図]
2002年1月27日に大阪市営バスがゾーンバス制度を廃止したことで、特36号系統と支線36号系統を統合して新たに36号系統が開設。 安田止めの36A号系統も新たに運行していました。 2006年には36A号系統が廃止。(安田バス停ロータリー及び、浜バスターミナル用地の駐車場が解体)全便が36号系統として運行しました。 2010年頃に地下鉄門真南〜茨田大宮の循環線を廃止し経路変更、2012年には地下鉄門真南〜茨田大宮間に三ツ島南バス停が新設。2013年には横堤バスターミナルが廃止され、横堤バスターミナルは地下鉄横堤と改称します。
近鉄バスは依然として縮小し、大阪駅北口も廃止、産業大学前行きや住道駅前(駅北口)、生駒登山口行きもしばらくはあったものの2014年ごろまでには廃止となっています。(住道に関しては2000年代にJR住道(南口)行きが新たに開設) 浜南口にあった折り返し場も廃止され、浜南口から南に新たに稲田車庫前までに至る路線が開設されました。
[浜南口おりばがあった名残の標柱]
[2014年頃の路線図]
このあとも近鉄バスの減便が進み、とうとうJR住道行きが山の日(8月11日)のみの運行となり1度だけ走りました。
稲田車庫前行きも土曜日1便のみの運行と相当苦しい減便となりました。
[2016年当時(減便前)桜の宮橋の時刻表(提供:モザ氏)]
[減便を知らせる案内]
[土曜1便のみとなった梅田~稲田車庫]
[晩年の梅田行き(提供:モザ氏)]
[路線の休止を知らせる案内]
そして、2017年3月25日をもって梅田から稲田車庫・住道方面に至る路線が休止。 約76年ほど歴史のある路線はここで1度幕を閉じます。とはいえ廃止でなく「休止」という形で現在も一部のバス停には未だに近鉄バスの標柱が残されています。(八ヶ新田は2016年に廃止)
大阪市営バスが2018年に民営化し、大阪シティバスになってもなお36号系統は特に変化は無く走り続けています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
36号系統を紹介していきましたが長い歴史なためと近鉄との深い関わりの話があってか一つの記事では収まらない量なため前編・後編と分けさせていただきました。 ちなみに近鉄バスと市バスの路線が共にあった頃は運賃方式が近鉄バスは整理券制、市バスは運賃均一制だったため乗り比べをするのに面白いものでしたが、今や大阪シティバスのみが走るだけとなってしまったので寂しい限りです。
他社路線バスが絡む路線には色んな背景があり、延伸に関しても何かしらの意味があったりするのがこの36号系統に詰め込まれていたと思います。
では👋